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品種

Catuai — 実が落ちない、風雨に強い実務家

2026-07-09

Catuaiは、研究機関が明確な目的を持って作り出した品種です。自然の偶然に頼らず、必要な性質を狙って組み合わせた——その意味で近代的な育種の産物といえます。

二十年以上をかけた交配

ブラジルのCampinas農業研究所(IAC)が一九四〇年代末から取り組んだ交配事業から生まれました。片親はMundo Novo(Typica系のSumatraとBourbonの自然交配種)、もう一方はCaturraの黄色い実をつける系統です。

狙いは明快でした。Mundo Novoの高収量と強健さ、Caturraの矮性。この二つを一つの木にまとめること。選抜を繰り返し、正式にリリースされたのは一九七〇年代に入ってからです。名の由来はグアラニ語の「とても良い」を意味する言葉とされています。

Timeline

狙って作られた品種

  1. 1940年代末

    ブラジルのCampinas農業研究所(IAC)が交配事業を始める

  2. Mundo Novoの高収量と強さ、Caturraの矮性を一つの木にまとめるため、選抜を繰り返す

  3. 1970年代

    正式にリリース。風雨の強い産地でも広く植えられる

Family tree

品種の系譜(上から下へ世代が進む)

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エチオピアの在来種Arabicaの故郷
MaragogipeTypicaの変異・大粒
PacasBourbonの矮性変異
Mundo Novo自然交配
Villa SarchiBourbonの矮性変異
Timor HybridCanephoraとの自然交雑
Catimorさび病に強い系統
Sarchimorさび病に強い系統
エチオピアの野生種
Marsellesa抵抗性品種
CentroamericanoF1ハイブリッド
  • エチオピアの在来種 → Typica(イエメン経由)
  • エチオピアの在来種 → Bourbon(イエメン経由)
  • エチオピアの在来種 → Geisha
  • Typica → Maragogipe
  • Typica → Mundo Novo
  • Bourbon → Mundo Novo
  • Bourbon → Pacas
  • Bourbon → Caturra
  • Bourbon → Villa Sarchi
  • Bourbon → SL28 / SL34
  • Canephora → Timor Hybrid
  • Maragogipe → Pacamara
  • Pacas → Pacamara
  • Mundo Novo → Catuai
  • Caturra → Catuai
  • Caturra → Catimor
  • Timor Hybrid → Catimor
  • Villa Sarchi → Sarchimor
  • Timor Hybrid → Sarchimor
  • Sarchimor → Marsellesa
  • Sarchimor → Centroamericano
  • エチオピアの野生種 → Centroamericano
  • Marsellesa → Starmaya
  • Centroamericano → Starmaya
主な品種だけを抜き出した系譜です。緑の線は別の種(Canephora)からのつながり。SL34の出自には諸説あります。名前に触れると、その品種の祖先と子孫が灯ります。

実が落ちにくいという長所

Catuaiの実務上の最大の美点は、完熟しても実が枝から落ちにくいことです。地味に聞こえますが、これは重要な性質です。強風や豪雨が多い地域では、収穫前に実が地面に落ちてしまう損失が無視できません。Catuaiはこのリスクを大きく減らします。

樹形はCaturra譲りのコンパクトさで、密植が可能。収量も高い。ブラジルはもちろん、中米各国、そしてハワイなど気象条件の厳しい産地でも広く植えられています。実の色によりRed Catuai、Yellow Catuaiと呼び分けられます。

評価の実際

カップの評価については、率直に言えば「並外れて優れているわけではない」というのが一般的な見方です。クリーンでバランスは良いものの、GeishaやPacamaraのような突出した個性は持ちません。

ただしこれは品種の限界というより、位置づけの問題です。Catuaiは農園経営を成り立たせるための現実的な選択肢として設計されました。高標高で収量を抑え、丁寧に精製されたCatuaiは、十分に高い評価を受けています。

支える品種という存在

コーヒーの話題は華やかな品種に集まりがちですが、産地の経済を実際に支えているのはCatuaiのような品種です。安定して収穫でき、天候に耐え、一定の品質を保つ。この地味な信頼性がなければ、農園は挑戦的な品種を試す余力すら持てません。

畑の中で役割を分担しているという視点で見ると、品種表の読み方が少し変わってきます。

品種どうしのつながりと性格の違いは、品種の系譜を読むで一枚の図にまとめています。

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